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CCSのしくみ

CO2分離・回収

火力発電所や大規模な工場などで排出されるガスからCO2を分離し、高純度CO2として回収します。

分離・回収方法の1つとして、アミン溶液などを利用した化学反応でCO2を分離・回収する方法(化学吸収法)があります。

CO2分離・回収概念図(化学吸収法)

CO2分離・回収概念図(化学吸収法)

CO2分離・回収概念図(化学吸収法)

苫小牧CCS大規模実証試験でのCO2分離·回収

苫小牧CCS大規模実証試験で採用したアミン溶液による化学吸収法は、工業的に確立された技術として多くの国で広く利用されておリ、日本でも化学工場や国産天然ガスの生産工程で長期にわたり利用されています。
今回の実証試験では、分離・回収に必要なエネルギーやコストの低減が可能なシステムを採用しておリ、CO2を含むガスから安定して高純度CO2(濃度99%以上)を分離・回収します。

CO2輸送

分離・回収されたCO2を、地中に圧入する施設まで輸送します。輸送は、専用パイプラインや輸送船、少量輸送用のタンクローリーや鉄道コンテナなどを使って行います。

カナダ・ワイバーンプロジェクトの図
カナダ・ワイバーンプロジェクトの図
(Petroleum Technology Research Centre資料に基づき作成)
LCO2輸送船イメージ図
提供:三菱造船株式会社
LCO2輸送船イメージ図

米国では年間約6,800万トンのCO2がパイプラインで輸送されており(*1)、その多くが、油田に圧入して原油を増産するために利用されています。

*1 出典:Global CCS Institute 「CO2はどのように輸送されますか?」
https://jp.globalccsinstitute.com/why-ccs/understanding-ccs/transport/
(参照 2022-04-18)

日本では、溶接や半導体の基盤洗浄、炭酸飲料、ドライアイスなどに利用されるCO2がタンクローリーなどの専用車輌で日常的に輸送されています。

また、CO2の排出源と貯留適地とが近接しているとは限らないので、長距離輸送に適した船舶による大量輸送のための技術開発が進められています。船舶輸送は、CO2の排出源と貯留地を限定せずに柔軟に結ぶことができるという利点もあります。

そして、2021年から、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により、2030年頃のCCUS技術の社会実装に向けて、船舶による液化CO2の輸送技術を確立するための研究開発ならびに実証試験への取り組みが開始されています。

CO2圧入・貯留

圧入・貯留の工程では、圧縮機を利用して、高純度CO2を私たちの生活空間から離れた1,000m以上深い地層に送り込み長期間にわたり貯留します。

貯留エリア

CO2を貯める貯留層は、上部がCO2を通さない泥岩などの地層(遮へい層)で覆われ、圧入されたCO2が漏れないような地層であることが条件となります。
また、活断層などが近くに存在しない地層が対象となります。
これまでの貯留層賦存量調査で、日本におけるCO2貯留可能量は約2,400億トン(*2)であるといわれています。

*2 出典:公益財団法人地球環境産業技術研究機構(2005)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構/国立研究開発法人産業技術総合研究所(2012)による貯留ポテンシャル評価結果

貯留のしくみ

貯留層は主に砂岩(砂が押し固められた岩石)から成り、岩石の砂粒の間には地層水(塩水)で満たされたすき間があります。このすき間にCO2を貯留します。圧入されたCO2は、地層のすき間にある地層水を押しのけて広がりますが、上部には遮へい層があるため、CO2は貯留層内に留まります。長い年月を経過したCO2は、地層水に溶解し、さらには周辺の岩石と反応して鉱物化し、安定的に閉じ込めることができると考えられています。

CO2圧入・貯留