Carbon dioxide Capture and Storageの略であり、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留を意味します。人類は、豊かな生活を築くために、数千万年以上にわたって地中深くに溜まっていた化石燃料を取り出して利用してきました。化石燃料を利用する際にはこれを燃やし、そのときにCO2が発生します。その結果大気中のCO2が増加し地球温暖化を招いています。CCSは、工場や発電所で発生するCO2を捕えて、地中貯留に適した場所まで運び、貯留する技術であり、早期大規模削減を可能にする重要な温暖化対策と期待されています。
地球温暖化は人類の最も重要な課題
2009年に入り、2月には日本各地で夏日を記録、4月には広島・大分で真夏日を記録するなど、地球温暖化は誰もが身近に感じられる様になってきています。また、世界的にみてもアラスカに代表される永久凍土の溶解や、それによる海面上昇が観測されています。2007年、75の研究成果に基づく約29,000のデータシリーズに基づき、450名を超える代表執筆者、800名を超える執筆協力者、2,500名を超える専門家の査読のもと、130カ国政府による全会一致の結論を得てまとめられた、気候 変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次報告書(AR4)の温暖化予測は、日に日に現実味を増してきています。AR4では、1970~2004年の間に温室効果ガス排出量は70%増加、温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素(CO2 )排出量は80%増加。2100年には世界平均気温が1.8~4.0度上昇すると予測しています。また、温度上昇は加速的傾向にあるとされます。この一見わずかな平均気温の上昇によって、地域的には高温、熱波、大雨、高潮、台風の大型化、干ばつをもたらし、生態系を破壊し、農業に影響を与え、食料不足を生じ、熱射病や感染症などの健康被害を増加させることになることが予測されています。これらは新たな貧困と争いを生む原因となるでしょう。
1)地球温暖化対策として重要な C C S
私たちが気づかなくてはならないことに、地球温暖化対策は既に遅れ気味で、もはや「地球温暖化防止」や「地球を元に戻す」のではなく、「緩和」や「適応」という言い方以上の対応ができなくなっている現状があり、早期の大規模対策が必要となっています。CCS ( Carbon dioxide Capture and Storage )は発電所や工場などから排出されるCO2 を大気中に放散される前に分離回収して、地中に貯留する技術で、CO2 の早期大規模排出削減が可能な、最も重要な地球温暖化対策といえます。IPCCの将来予測シナリオでも、CCSの果たす役割は大きいのです。CCSが実効ある温暖化対策となるためには世界的に実施されなくてはなりません。そのためには早期に実証試験に着手し、加速的展開が必要となります。技術的には大きく分離・回収、輸送、圧入・貯留の3段階の技術からなり、それぞれ既存技術によって実施可能で、規模拡大、効率化、特にエネルギー使用量の削減、統合システムとしての最適化等、更なる技術開発が課題となっています。
ページのトップに戻る
日本の貯留可能量は(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)によれば、陸域・海域(海底下)合わせて1,500億トンとされ、大半が海域にあります。地権者関係や環境規制等の点から、日本では海底下地中貯留が現実的といえます。2006年にロンドン条約96議定書が改定され、CO2 の海底下地中貯留が国際法上可能となり、2007年には、日本においても海洋汚染防止法が改正・施行されましたが、同法の実適用には、尚検討すべき点も残されています。
ページのトップに戻る2)日本における C C S の 位置づけ
2008年3月、日本政府は「Cool Earth―エネルギー革新技術計画」の中で、世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに半減する目標を国際的に共有することを提案し、日本の目標として60~80%削減とし、CCS技術開発を重要な位置づけとしました。7月のG8北海道洞爺湖サミットでは、「2010年までに世界的に20の大規模なCCSの実証プロジェクトが開始されることを、強く支持する」と宣言されました。サミット後には「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定され、2009年度以降、早期にCCS大規模実証試験に着手し、2015年までにCO2 地中貯留実施に必要な基盤技術を確立し、2020年から民間部門での本格導入の実現を目指すとしています。そのため、分離・回収コストを現状の4,200円/tから2015年には2,000円台、2020年には1,000円台にするという目標を設定しています。そして、12月に開催された「総合科学技術会議」では、10万トン/年規模の実証試験実施が了承され、更に拍車がかかった状況にあります。
C C S の 要素技術
- 1.分離・回収 : 工場・発電所等の大規模排出源の排ガス等から、CO2を分離し回収する。
- 2.輸 送 : 分離回収されたCO2を、貯留地点まで輸送する。
- 3.貯 留 : 貯留地点まで輸送されてきたCO2を、地下約1000mより深い
貯留層(帯水層等)に、圧入、貯留する。

ページのトップに戻る









